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嘗て
宮澤賢治のかの有名な『雨ニモマケズ』が「サウイフモノニワタシハナリタイ」
という台詞で締めくくられていることから、それはその詩の内容にもあるような
いわば偉人ともいえる人物を目指したいという願望の詩なのだと思っていました。
私が学生時代に、学年全体で宮澤賢治の研究ということで岩手県に出掛けた際に
宮澤賢治は若いころに大病で死にかけた頃の詩と、この『雨ニモマケズ』のみが
カタカナで書かれていることから、これは「サウイフモノニワタシハナリタイ」
けれどもそうはなれなかった…という絶望の詩なのだと専門家に説明され
“常識”に捉われていた認識を改めさせられたことがありました。
また何十年も前に
国連の関連で色々な国に演奏に行った頃の話で、今は状況が違うと思いますが
その移動の途中のインドの空港で、トイレの便器の水で赤ちゃんを洗う母親が居て
私は「トイレの便器の水で赤ちゃんを洗うなんて酷い」と思いました。
周りの人達が言うには、その母親の住んでいる自宅の周辺では上下水道がなく
普段は汚いドブ川の水で体を洗い、空港のトイレの便器の水は遥かに綺麗なので
赤ちゃんを大切に思っているから、空港のトイレの便器の水で洗うのだそうで
その話を聞いた時、自分が上下水道の整備された環境で暮らしているがゆえの
“常識”に捉われていた誤解を反省させられました。
ということは
最初の事例では、普通の知識からすると、「サウイフモノニワタシハナリタイ」は
願望と捉えるのが“常識”で、絶望という専門家の説明は“非常識”ということになり
つぎの事例では、普通の思慮分別からすると、トイレの便器で赤ちゃんを洗うのは
酷いと捉えるのが“常識”で、赤ちゃん思いの母親は“非常識”ということになります。
つまり
“常識”というのは
「健全な一般人が共通に持っている、または持つべき、普通の知識や思慮分別。」
というのがネットで示された辞書としての正確な定義ではあっても
実際には
「一般人が自らの立場で感じる、また思っている、表面的な印象や思い込み。」
そうした点ではヴァイオリンの分野でも
このブログで何度も引用しているように
せっかく文明の利器が有るのだから…と電卓を使って答えを確認したところで結果の確認に過ぎず、計算のやり方は学べない…というよりも、計算のやり方を学び鍛える際に電卓を使うことは無意味で余計なことでしかないのと同じで、せっかく文明の利器が有るのだから…とチューナーを使って音程を確認したところで結果の確認に過ぎず、音程の取り方は学べない…というよりも、音程の取り方を学び鍛える際にチューナーを使うことは無意味で余計なことでしかない
などということは、誰もが少し考えればわかることです。
にもかかわらず
チューナーで音程を取らされてもおかしいと思わない人が居るのは
一般人が自らの立場、すなわち素人がヴァイオリンに対して感じている
表面的な印象や思い込みとしての“常識”でしか捉えられないからだと思います。
また
私のサイトに書いたように『ローデ/24のカプリース』は順番に指導しますが
それ以外のエチュードではやはりŠEVČÍK同様、課題とすべき範囲を取捨選択して
緻密に指導しなければならず
エチュード全体を何巡も…では、それっぽい(笑)だけで精密には弾けなくなる
などということも、誰もが少し考えればわかることです。
にもかかわらずここでもまた
エチュードを何巡も弾かされてもおかしいと思わない人が居るのは
一般人が自らの立場、すなわち素人がヴァイオリンに対して感じている
表面的な印象や思い込みとしての“常識”でしか捉えられないからだと思います。
その結果
音程も正確に、演奏も正確に…と目指してレッスンを受けていた筈なのに
音程も演奏もそれっぽい(笑)だけで正確には弾けなくなってしまうのは
チューナーやエチュードを何巡…というテキトーな指導のせいだと玄人はわかるのに
素人はヴァイオリンは難しいという“常識”から、それがテキトーな指導とはわからず
更に教える側が真剣だと、それがテキトーな結果を招くとは夢にも思わないのです。
ですから
そうした惨状に陥らないためにも
素人というのは、その物事の素人が玄人っぽく語ると感心してしまい
寧ろその物事における玄人の話には違和感を覚えがちであるということに留意して
はたして自分が抱いている“常識”は、その物事の玄人の共通認識なのか
あるいは自分が感じている“常識”は、その物事の素人のそれっぽい(笑)話に
そうした点で
レストランなどで星を獲得した…ですとか、三ツ星…などということが話題になり
色々な業種の格付けでもAAA…ですとか、Bランク…などというように
何れの分野でも何らかの指標が用いられています。
具体的には
以前の記事で書いたように
『パガニーニ/24のカプリース』が
“基礎”の集合体として“基礎”を学び重ねて初めて弾ける曲集であることから
『パガニーニ/24のカプリース』を習っている生徒さんの割合はどれくらいか?
ということを指標にすれば
その教室が生徒に“基礎”を学び重ねさせられているか否かを評価できると考え
“パガニーニ/24のカプリース学習生徒割合指標”ですとか
“パガニーニ/24のカプリース指標”というのでは長いので(笑)
“パガニーニ指標”と思い切り短縮した名称で掲げてみました。
ここで留意すべきは
教室でだぁ~れも『パガニーニ/24のカプリース』が弾けないなら無星…としても
教室の生徒全員が『パガニーニ/24のカプリース』が弾けたら五つ星
ということにはならないようにしなければならない点です。
様々な統計的手法による計算式も考えてみましたが、そんなことをしなくても
『パガニーニ/24のカプリース』が
誰も弾けない教室は、万年初心者だけとなり上達し難い教室と考えられ低評価
全員が弾ける教室は、最初から上級者だけで上達は判断し難いことから中評価
3割程度の教室なら、初級~中級~上級者が居て順次上達しているので高評価
ということから
その教室の生徒で
『パガニーニ/24のカプリース』をレッスンしている生徒の割合が
0~ 29% Cランク ただしテキトーに楽しみたい人には最適な教室
30~ 59% Aランク 初級~中級~上級まで在籍し、真剣に上達したい人向け
60~100% Bランク 最初から上級者だけで、初級~中級者には不向き
という格付けを考えたのですが…
けれども
『パガニーニ/24のカプリース』は既述のように
“基礎”の集合体として“基礎”を学び重ねて初めて弾ける曲集であることから
『パガニーニ/24のカプリース』が弾けるということは
“基礎”を学び重ねてきている=綺麗な音と正しい音程で弾けることを意味します。
『パガニーニ/24のカプリース』が弾けるか否かということに対して
ヴァイオリンを正しく教え学ぶ玄人達が知るところの“常識”とは異なり
一般人が自らの立場で抱く表面的な印象や思い込みとしての“常識”でしかなく
もっとも
既述のような指標を求めないとしても
そしてそのためには
既述のように
チューナーを使わせ、ヴァイオリンならではの音程の取り方を教えない指導か?
エチュードは全体を何巡も弾かせ、大雑把にしか弾けなくなってしまう指導か?
あるいはそうではなく
チューナーは使わず、ヴァイオリンならではの音程の取り方を教えてくれているか?
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