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ヴァイオリンの演奏において、ポジション移動(シフティング)は避けて通れない
重要な技術です。第1(ファースト)ポジションだけでは音域として演奏できる曲が
限られるため、より高い音域や表現の幅を広げるには、ポジション移動の習得が必須
となります。さらに、音形によっては第1以外のポジションを用いることによって、
演奏の効率や運指の安定を得ることができます。そして、同じ音域であっても、
使用する弦やポジションでの音域、さらにはポジション移動それ自体がフレージング
や、ヴァイオリンらしい表現の一つとなることもあるのです。
ヴァイオリンのポジションとは、左手の位置のことを指します。ネック(棹)に最も
近い位置が第1(ファースト)ポジション(ちなみに、それより低いポジションの
位置をハーフポジション)、そこから指1本分ずつ高音側にずれるごとに第2、第3
ポジションと呼ばれます。
一般的に第7ポジションまでが実用的によく使われ、それ以上の高いポジションも
曲によっては必要になります。
ポジション移動で最も重要なのは、親指と手全体が一体となって滑らかに移動する
ことです。音形によってはあえてポジション移動せずに指を拡張して押さえる場合も
ありますが、ポジション移動においては指だけを伸ばして移動しようとすると、
音程が不安定になり、余計な雑音も出てしまいます。親指がネックの裏を滑るように
移動させるとともに、指板上ではいずれかの指が弦の上を柔らかく滑るように移動
させ、手全体が一つのユニットとして動くことが理想です。
また、移動する際には適度な力の抜き方が重要です。ネックを強く握りしめた状態
では、スムーズな移動ができません。親指と人差し指の間に軽く隙間ができるくらい
の力加減が適切です。
最初は、第1ポジションから第3ポジションへの移動から始めます。
例えば、開放弦のG線で、第1ポジションの1の指(人差し指)でAの音を押さえ、
そこから同じ指のまま第3ポジションのCの音へ移動する練習をします。
移動する瞬間は、弦から指を離さず、弦に軽く触れたまま、弦の上を滑らせるように
移動します。そしてカール・フレッシュの"Urstudien" (Carl Flesch)に掲載
されているように、第3ポジションあるいは第4ポジションで手の平が楽器の肩に
接するようにします。
この際に重要なのは、移動中も音を鳴らし続けることです。これをグリッサンド、
あるいはポルタメントと呼びます。最初はグリッサンドで移動し、徐々に移動の
速度を上げ、最終的には瞬間的に移動できるようにします。このように弦上で指を
跳躍させるのではなく、滑らせることが重要です。にもかかわらず、古典派の作品に
おいては、そうしたポルタメントを演奏上表出してはいけないという指導が行き過ぎ
てしまい、練習の際にもポルタメントを完全に排除する指導も見受けられますが、
既述のような左手全体が一体化した滑るようなポジション移動による滑らかな運指の
習得のためには、それはよくないことです。ポジション移動は練習ではむしろ
ポルタメントこそを意識し、ただしそれは軽やかに行うように心がけ、そして古典派
などの演奏では、その軽やかさ故に移動時間を短縮した結果、演奏にポルタメントが
現れにないようにするという取り組みと練習が必要です。
同じ指での移動に慣れたら、異なる指に替えながら移動する練習に進みます。
例えば、第1ポジションの3の指(薬指)から第3ポジションの1の指(人差し指)
への移動などです。この場合、手の形自体も変化するため、より高度な技術が求め
られます。さらには、異なる指でポジション移動するものの、その移動前と移動後の
音はいずれも同じ音であるという指の入れ替えの練習も行うことにより、より正確な
音程を取るためのポジション移動の練習になるとともに、運指がポルタートの場合に
その指の入れ替えを行うことで、同じ音程の音の連続において、より表情豊かな
ポルタート演奏を実現することも出来ます。
さらに進んだ段階では、第1ポジションから第5ポジションへといった、大きな跳躍
を伴う移動の練習をします。
跳躍が大きくなるほど、目標の音程を正確に捉える耳の訓練が重要になります。
ポジション移動で最も難しいのは、移動後の音程を正確に取ることです。
ここで重要になるのが、ヴァイオリンの響きを聴く耳です。正しい音程で押さえると、
楽器が豊かに響きます。この響きを聴き分けられるようになることが、ポジション
移動上達の鍵となります。
以上については『ヴァイオリンのポジション移動における〈鉄則〉と[原則]』も
ご覧ください。
また、各ポジションでの指の間隔の感覚を身体で覚えることも大切です。
高いポジションになるほど指の間隔は狭くなります。この感覚を、繰り返しの練習で
身につけます。
多くの学習者が、ポジション移動の際に音が途切れたり、雑音が出たりする問題に
直面します。
これは主に、移動中に弓の圧力が変化したり、左手に余計な力が入ったりすることが
原因です。移動する瞬間は、右手の弓の動きを一定に保ち、左手は力を抜いて
リラックスさせることが大切です。
また、移動後の音程が不安定な場合は、目的とする音程の響きを十二分に聴き分け、
音程を狙うというよりも、狙った響きになるように練習します。こうした訓練を
重ねることによって、木製のおもちゃの紐が付いたコルクの弾が、レバーを引くと
銃口に戻りピタリと嵌る動作のように、求める音程に使う指がピタリと移動できる
ようになります。
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東京都狛江市にある美しい音色・正しい音程・伝統の奏法重視の
「イワモト ヴァイオリン教室」
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