ヴァイオリンの音程を取るのにチューナーを使うことはありません。
それは結果の確認だけで、音程の取り方は学べません。
そもそもチューナーで正しい音程は取れません。
バイオリンを正しい音程の美しい音で奏でることはできません。
なぜチューナーを使ってはいけないのでしょうか?
理由は、ヴァイオリンの音程はヴァイオリンの“響き”に耳を傾けることで正しく
取れるからです。そのためにはチューナーを見るのではなく、ヴァイオリンの音を
聴く必要があります。
せっかく文明の利器があるのだから…と電卓を使って答えを確認しながら計算練習
しても、計算力は身につきません。
同じように、せっかく文明の利器があるのだから…とチューナーで音程を確認
しながら練習しても、音程を取る能力は育たないのです。
実は、ヴァイオリンには300年の歴史の中で確立された、ヴァイオリンならではの
音程の取り方があります。
この方法は、1960~1970年代頃まで、伝統的なヴァイオリン教育において
受け継がれてきました。ヘンリク・シェリングのような巨匠たちが当たり前のように
使っていた方法です。
ヴァイオリンは、正しい音程で弾かれると、最も美しく響く楽器です。その“響き”
の中に、正解があります。チューナーでもピアノでもなく、ヴァイオリン自身が
「正解はここですよ」と教えてくれるのです。
しかし、この方法は現代では、ほとんど伝えられなくなってしまいました。
詳しくはヴァイオリンの音程の取り方のページもご覧ください。
音楽大学が増え、ヴァイオリンを学ぶ人が急増すると、一人ひとりに丁寧に伝える
時間が取りにくくなりました。加えて、インターネットの普及により、様々な情報が
溢れるようになると、"響き"による音程の取り方は次第に影を潜めていきました。
なぜなら、“響き”のように「その場で直接聴かなければ伝わらないもの」は、
YouTubeでも録音でも伝えられないからです。録音技術にこだわったカラヤンでさえ
実演の“響き”を完全には収録できなかったのです。
そして今、多くの指導者も、楽器から出る“響き”を聴き分けて音程を取る方法を
知らないのです。
計算のやり方を習ってから、計算を正しく行う練習をします。
文字の書き方を習ってから、文字を美しく書く練習をします。
これと同じように、音程の取り方を習ってから、音階やエチュードや曲を練習
しなければなりません。
ヘンリク・シェリングによるバッハ無伴奏の録音。あの歴史的名演が生まれた背景
には、“響き”による音程の取り方への深い理解がありました。
バッハの無伴奏では、メロディーとしての音程、重音としての音程、開放弦の固定
された音程――この三つ巴が発生します。これらの音程をどう折り合いをつけるか
という、極めて高度な調整が常に求められます。
単に開放弦との共鳴を聴くだけではない、“響き”の中から最も美しい音程を選び
取る技術。それを、シェリングは完璧に体得していました。だからこそ、バッハの
複雑な音程調整を見事に成し遂げ、あの歴史的名演が生まれたのです。
「あんな演奏は天才にしかできない」――そう思われるかもしれません。
でも、シェリングが学んだ方法は、実は誰でも学べるものなのです。
“響き”によるヴァイオリンの音程の取り方を学ぶと、何が起こるのでしょうか。
まず、音程が驚くほど安定します。信号機の色を見分けるように、正しい音程が
「見える」ようになります。
その変化は音程だけにとどまりません。“響き”で音程を取るためには、正しい
“響き”を聴き取ることが求められます。そのためには、弓の圧力、速度、角度が
適切でなければなりません。
つまり、“響き”を学ぶことで、運指も運弓も、自ずと洗練されていくのです。
「音程なんて、どうせ完璧にはならない…」という諦めから、
「“響き”が教えてくれる。正解がある!」という確信へ。この転換が、あなたの
ヴァイオリン人生を変えます。
何年もかかりません。経験や年齢を問わず、数週間から1〜2ヶ月で、“響き”を
聴き分けられるようになってきます。
すると、その瞬間から、あなたのヴァイオリン演奏は変わり始めます。
「今日は調子がいい」が、毎日続く。
これは、決して大げさではなく、"響き"に基づくヴァイオリン本来の音程の取り方を
学べば、誰にでも起きる変化なのです。
詳しくは、ブログ記事
『メロンパンを美味しくするには――ヴァイオリンの真の上達』もご覧ください。
イワモト ヴァイオリン教室では、こうしたヴァイオリン本来の音程の取り方を、
基礎から丁寧に指導しています。チューナーという便利な道具に頼らず、
ヴァイオリンの響きを聴いて音程を取る伝統的な方法を、趣味で習う方から専門家を
目指す方まで、すべての方に本格的な音色と正確な音程で演奏するための技術を
お伝えしています。
東京都狛江市にある美しい音色・正しい音程・伝統の奏法重視の
「イワモト ヴァイオリン教室」
住所(狛江教室):〒201-0003 東京都狛江市和泉本町2-31-4メイプルビル301
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