(モバイルでは端末を横長にしてご覧ください)
(iPhoneなどで端末を横長にして画面の左側にブックマークなどの表示が出る場合は
画面最上部のアドレスバーの左側の青くなっているブック(本)のマークのアイコンをクリックすると消えます)
ヴァイオリン運弓ガイド
ヴァイオリンの美しい音色を生み出すために最も重要な技術が運弓(ボーイング)
です。弓の動かし方ひとつで、音の響きや表現力は大きく変わります。
カール・フレッシュが『ヴァイオリン演奏の技法』で述べたように、ヴァイオリンの
運弓には大きく分けて3つの流派があります。
腕全体を使った力強い運弓が特徴です。重厚な音色を生み出すことができます。
指や手首の細やかな動きを重視します。繊細で軽やかな表現に適しています。
腕の重みを自然に弓に伝える奏法です。深みのある
豊かな音色が特徴で、当教室ではこの伝統的な奏法を基礎としています。
正しい運弓を身につけるには、まず基本姿勢が重要です。
弓を持つ右手は、親指と中指で弓の重さを支え、他の指は自然に添えます。
そして人差し指にはあまり力をかけない前提で、それらの指は人差し指に向かって
全体の方向性をもたらすようにします。
手首は柔軟に保ち、腕の重みが弓を通して弦に伝わるようにします。
この際に、手首が折れ曲がると弓に余計な負荷をかけて弦の振動を妨げるので
そのため、手首が折れ曲がらないようにすることで、結果として右肘は高い位置に
留まることになります。
右肩は、右肘の高さによって上げられることになりますが、重要なことは
あくまで右肘によって右肩が上げられるのであって、上げるのではないことです。
なお、右肘の位置については過剰に上げることも下げることも避ける必要があり
ますが、一部で見られる「右肘を下げなさい」という指導については、
『ヴァイオリンの弓の毛(弓毛)の毛替え』で詳しく述べているように、
弦の振動を物理的に妨げる誤った指導です。
「フィンガリングの魔術師」とも呼ばれ、イザイにも師事してるフランコ・ベルギー
楽派の演奏スタイルで知られたナタン・ミルシテインは、同時に運弓に関しても
最晩年まで颯爽とした演奏を行い、その基礎はアウアーから学んでいます。その
ミルシテインも右腕を下げないことに関して、右腕の下の右脇腹を指しながら
「ここに大きなビーチボールがあるつもりで弾くように」と指導していたと伝えられ
ています。
弓は弦に対して直角を保つことが基本ですが、駒と指板の間のどの位置で弾くかに
よって音色が変化します。駒に近いほど明るく力強い音、指板に近いほど柔らかく
暗い音になり、この方法をサイモン・フィッシャーは5つのポイントに分類して
詳述しています。しかし一方で、ビンカス・ズカーマンは、あくまで指板と駒の
中間地点を常にサウンドポイントとして、そうした変化を表出すべきだと唱えて
います。従って、最終的には、その両方の手法の習得を目指すべきです。
弓の元から先まで、できるだけ長く均一な音を出す練習(「Son Filé」
(ソン・フィレ)と呼ばれます)をします。
弓の速度、圧力、弦に当てる角度を一定に保つことを意識します。
私がヘンリク・シェリング先生、アイザック・スターン先生から
プライベートでレッスンを受けていた際、両先生とも必ずご自身の練習で
この「Son Filé」を実践されていました。
その速度は、全音符の一つを16個に数える速さがメトロノームでいえば
10~20に相当するであろう想像を絶する低速。
世界最高峰の演奏者でさえ、基礎的な運弓練習をこれほど丁寧に
継続している事実が、「Son Filé」の重要性を何よりも雄弁に物語っています。
詳しくは『ヴァイオリンを調える――音色と音程矯正し一気に上達する練習法
「Son Filé」(ソン・フィレ)』をご覧ください。
それぞれ使う右指を、親指以外では、小指から人差し指に向かって使用する指を
4本、3本、2本、1本と減らしながら、一弓で1拍、2拍、4拍と拍それぞれの
長さを変えながら練習します。これにより、親指と中指で支えることを基本とし
つつも、右手指全体の流れとしては人差し指に向かうように構えつつ、短い運弓
でも弓を無駄に使わずに必要かつ確実に発音させる運弓が養えます。
弓元(フロッグ)、弓中、弓先それぞれで同じ音量・音質を出せるよう練習します。
特に弓先は軽くなりやすいので注意が必要です。さらに、弓元だけ・弓先だけ
による発音を交互に急速に行い続けることにより、運弓の全体像をしっかりと
身体に覚え込ませる練習も必要です。
多くの学習者が陥りやすいのは、弓に力を入れすぎることです。力で音を出そう
とすると、かえって音が固くなり、響きが失われます。
弓の重みを自然に弦に伝え、腕全体をリラックスさせることが大切です。
鏡の前で練習し、肩や腕に不必要な力が入っていないか確認しましょう。
また、弓が斜めになってしまう癖も多く見られます。弓が弦と平行に動くよう、
肘の高さと位置を常に意識することが重要です。
私も師事し、バッハの無伴奏の歴史的名演を遺されたヘンリク・シェリング先生は
「弓が楽器の上を勝手に動いている。けれども、それでは私が演奏したことに
ならないので、仕方なく、弓の動きを妨げないように、弓に軽く右手を添える」と
仰っていました。
運弓の上達には、毎日の継続的な練習が欠かせません。毎日必ず基本的なロング
トーン、すなわち「Son Filé」(ソン・フィレ)の練習を続けることで、確実に
音色が改善されます。
また、自分の音を注意深く聴くことも重要です。録音して客観的に聴いてみると、
気づかなかった癖や改善点が見えてきます。運弓では常に、身体や演奏上の都合に
よる余計なアクセントは生じないように心がけ続けます。
イワモト ヴァイオリン教室では、こうした運弓の基礎から、カール・フレッシュが
分析した各流派の特徴も踏まえた上で、一人ひとりに合わせた丁寧な指導を行って
います。子どもから大人まで、趣味で習う方から専門家を目指す方まで、すべての
方に本格的な音色で演奏するための技術をお伝えしています。
下のマークをクリックすると、関連リンクが表示されます。
東京都狛江市にある美しい音色・正しい音程・伝統の奏法重視の
「イワモト ヴァイオリン教室」
住所(狛江教室):〒201-0003 東京都狛江市和泉本町2-31-4メイプルビル301
営業時間 :10:30~23:30(日・月・水・木・土)
